「いつか治る」と一人で悩まないで。円形脱毛症の種類と、心の負担を軽くするために皮膚科ができること

― 突然始まる脱毛の正体 ―

「急に髪の毛が抜けた」それは円形脱毛症かもしれません

ある日突然、

  • 円形や楕円形に髪の毛が抜けている
  • 地肌がはっきり見える部分ができた
  • 痛みはないが、抜け毛が増えた

このような症状で受診される方は少なくありません。
この代表的な原因が 円形脱毛症 です。

円形脱毛症は、
**後天的に起こる、傷あとを残さない脱毛症(非瘢痕性脱毛症)**で、
皮膚科の日常診療で非常によくみられる病気です。

ガイドラインでは、円形脱毛症は
自己免疫性疾患と考えられています。

本来、体を守るはずの免疫が、

  • 成長期の毛包(毛を作る組織)

を誤って攻撃してしまうことで、
毛が抜けてしまうと説明されています。

発症のきっかけとして、

  • 疲労
  • 感染症
  • 出産
  • 精神的・身体的ストレス

などが挙げられますが、
はっきりした原因が分からないことも多いのが特徴です。

円形脱毛症は、

  • 男女差はなく
  • 子どもから高齢者まで
  • どの年代でも発症する

病気です。

ガイドラインでは、
日本でも患者数は増加傾向にあると報告されています。

脱毛の特徴

  • 境界がはっきりした脱毛斑
  • 円形〜類円形が典型
  • 痛みやかゆみはないことが多い

脱毛は頭髪だけでなく、

  • 眉毛
  • まつ毛
  • ひげ
  • 体毛

にも起こることがあります。

病型(タイプ)の分類

ガイドラインでは、脱毛の範囲により次のように分類されています。

  • 単発型:脱毛斑が1か所
  • 多発型:複数の脱毛斑
  • 全頭型:頭全体の脱毛
  • 汎発型:全身の脱毛
  • 蛇行型:生え際に沿って帯状に脱毛

軽症から重症まで幅があります。

円形脱毛症は、

  • 軽症(小さな脱毛斑が数個まで)の場合
    1年以内に自然に回復することが多い

とガイドラインで示されています。

一方で、

  • 脱毛範囲が広い
  • 長期間続く
  • 繰り返す

場合は、
治療が必要になることがあります。

多くの場合、

  • 見た目(視診)
  • 経過の確認

で診断が可能です。

必要に応じて、

  • ダーモスコピー(拡大観察)
  • 他の脱毛症との鑑別

を行います。

ガイドラインでは、
円形脱毛症の治療は 対症療法 が基本とされています。

病状に応じて、

  • ステロイド外用
  • ステロイド局所注射
  • 内服治療
  • 光線療法
  • 重症例ではJAK阻害薬

などが検討されます。

治療の目的は、

脱毛の進行を抑え、毛髪の再生を促すこと

とされています。

円形脱毛症は、

  • 生命予後は良好
  • 体の健康を直接害する病気ではありません

しかし、

  • 見た目の変化
  • 精神的な負担
  • 生活の質(QoL)の低下

につながることがあるため、
適切な診断とサポートが重要とされています。

  • 円形脱毛症は自己免疫が関与する脱毛症
  • 年齢や性別を問わず起こる
  • 自然に治ることもある
  • 状態に応じた治療が可能

「急に髪が抜けた」
「円形の脱毛がある」

このような症状に気づいたら、
早めに皮膚科へご相談ください。

本記事は
「円形脱毛症診療ガイドライン2024(日本皮膚科学会)」
を基に作成しています