アトピー性皮膚炎を「繰り返さない」ために  最新の治療とバリア機能を高める保湿術

アトピー性皮膚炎の治療で最も大切なのは、単にかゆみを抑えることだけではありません。目指すべきゴールは、症状が落ち着いた「寛解(かんかい)状態」を維持し、日常生活で肌のことを気にせずに過ごせる状態を作ることです。

「良くなったり悪くなったりを繰り返している」「今の塗り薬だけでいいのかな?」と不安を感じている方へ、現代のアトピー治療の最前線と、自宅でできるケアのポイントを解説します。


アトピー性皮膚炎をコントロールする「治療の3本柱」

アトピー性皮膚炎の治療は、以下の3つを並行して行うことが基本となります。

1. 薬物療法:広がる新しい選択肢

これまでの治療の主役であったステロイド外用薬に加え、近年は新しいお薬が続々と登場し、治療の選択肢が格段に広がっています。

  • 非ステロイド外用薬(コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏など): 免疫の過剰な働きを抑える新しい塗り薬です。ステロイド特有の副作用を気にせず、顔などのデリケートな部位にも長期的に使いやすいのが特徴です。
  • 注射薬(デュピクセントなど): 従来の治療で十分な効果が得られない中等症以上の方に向けた治療です。炎症の元となる物質をピンポイントでブロックし、かゆみと湿疹を劇的に改善させることが期待できます。

2. スキンケア:徹底した保湿で「バリア」を作る

アトピー性皮膚炎の肌は、水分を保持する力が弱く、バリア機能が低下しています。

  • 保湿の役割: 外部からのダニ・ホコリ・花粉などの侵入を防ぎ、かゆみの神経が過敏になるのを抑えます。
  • タイミング: 入浴後、タオルで軽く水分を拭き取ったら「5分以内」に保湿剤を塗るのが理想です。肌がしっとり吸い付くくらいの量を、擦らず優しくのせましょう。

3. 悪化因子の除去:刺激を避ける工夫

生活環境の中に隠れている「かゆみのスイッチ」を特定し、遠ざけることも重要です。

  • 環境整備: こまめな掃除でダニやハウスダストを減らす。
  • 汗対策: 汗をかいたら放置せず、濡れタオルで優しく押さえるように拭くか、シャワーで流す。
  • 衣類: 肌に直接触れるものは、綿(コットン)などの刺激の少ない素材を選ぶ。

大切なアドバイス:自己判断での「薬の中断」はNG

症状が少し良くなると、「もう大丈夫」と思ってお薬を止めてしまいたくなるかもしれません。しかし、見た目がきれいになっても、肌の内部ではまだ炎症の火種が残っていることが多いのです。

ここで治療を止めてしまうと、すぐに再発し、また強い薬が必要になるという悪循環に陥ってしまいます。

  • プロアクティブ療法: 症状が良いときも週に数回お薬を継続し、炎症の再燃を抑える治療法が推奨されています。
  • 医師との相談: お薬を減らすタイミングは、医師が肌の状態を確認しながら慎重に判断します。「減らしていきたい」という希望を含め、二人三脚で治療を進めていきましょう。

あなたらしい毎日を取り戻すために

アトピー性皮膚炎は長く付き合っていく疾患ですが、現在はコントロール可能な病気になりつつあります。夜ぐっすり眠れる、好きな服を着られる、そんな当たり前の日常を諦める必要はありません。

現在の治療に疑問を感じている方や、新しい治療法について詳しく知りたい方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。