夜も眠れないほど「強いかゆみ」の正体は?ダニが寄生する皮膚感染症・疥癬(かいせん)のサインと潜伏期間

― 強いかゆみを伴う
「うつる皮膚感染症」 ―

疥癬はどんな病気?

疥癬(Scabies)は、
ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)という非常に小さなダニが、
皮膚の一番外側(角質層)に寄生することで起こる感染症です。

ガイドラインでは、

  • ダニそのもの
  • ダニのフン
  • ダニの脱皮殻

に対するアレルギー反応によって、
皮疹(発疹)や強いかゆみが生じる病気と定義されています。

ヒゼンダニは、

  • 体長 約0.4mmほどの肉眼では見えないダニ
  • 人の皮膚の角質層にトンネルを掘って生活する

という特徴があります。

雌のダニは皮膚の中を移動しながら毎日産卵し、
卵→幼虫→若虫→成虫へと成長します。

この生活環は約10~14日で完結するとされています。

主な感染経路は「肌と肌の直接接触」

疥癬は、

  • 性行為
  • 同じ布団で寝る
  • 長時間の手の接触

など、濃厚な皮膚接触によって感染します。

通常の疥癬では、

  • 短時間の接触
  • すれ違い
  • 衣類や物を少し触っただけ

で感染する可能性は低いとされています。

例外:感染力が非常に強い「角化型疥癬」

角化型疥癬(かくかがたかいせん)では、

  • 皮膚に非常に多くのヒゼンダニが存在
  • 剥がれ落ちた角質からも感染が広がる

ため、

  • 短時間の接触
  • 直接触れていなくても

感染が成立することがあり、集団感染の原因になるとされています。

共通して多い症状

  • 非常に強いかゆみ
    • 特に夜間に強くなる
  • 赤いブツブツ(丘疹)
  • 小さな水ぶくれ

このかゆみは、
ダニに対するアレルギー反応によって起こると説明されています。

疥癬に特徴的な皮膚所見

疥癬トンネル(burrow)

  • 手首
  • 指の間
  • 手のひら

などに見られる、
細く白っぽい線状の皮疹です。

これは、
雌のヒゼンダニが皮膚の中を掘り進んだ痕跡であり、
疥癬に特有の所見とされています。

疥癬では、

  • 感染してから症状が出るまで
  • 約1~2か月の潜伏期間

があります(高齢者ではさらに長くなることもあります)。

この間は症状がなくても、
後からかゆみや発疹が出てくることがあります。

ガイドラインでは、疥癬の診断は次の3つを総合して行うとされています。

  1. 皮疹やかゆみなどの臨床症状
  2. 顕微鏡検査やダーモスコピーによるヒゼンダニの検出
  3. 疥癬患者との接触歴や集団発生状況

ヒゼンダニが確認できた場合は確定診断となります。

疥癬は、

ヒゼンダニを退治すれば治癒する感染症

とガイドラインに明記されています。

現在、日本で保険適用のある治療薬として、

  • 外用薬
  • 内服薬

が使用可能であり、
適切な診断と治療により治癒が期待できる病気です。

特に角化型疥癬では、

  • 細菌の二次感染
  • 全身状態の悪化
  • 重篤な合併症

を起こすことがあり、
早期治療が非常に重要とされています。

  • 夜に強くなるかゆみが続く
  • 家族や周囲に同じ症状の人がいる
  • 市販薬で良くならない

このような場合、
疥癬を含めた皮膚疾患の可能性があります。

疥癬は、
正しく診断し、適切に治療すれば治る病気です。
気になる症状があれば、早めに皮膚科にご相談ください。

本記事は
「疥癬診療ガイドライン(第3版)日本皮膚科学会」を基に作成しています